韓国発「反日プロパガンダ」の顔か、愛国活動家か——徐婠徳(ソ・ギョンドク)が日韓メディア戦線で放ち続ける異様な存在感
ソ ギョンドク氏は、日韓の歴史摩擦や文化対立が表面化するたびに、SNSや海外主要紙への大規模な広告出稿を仕掛け、独自の世論工作を展開してきた韓国・聖信女子大学の教授だ。竹島(韓国名・独島)の領有権主張、旭日旗の排斥運動、さらには「軍艦島」を巡るユネスコへの抗議活動まで、日本国内で彼の名を知る者は少なくない。2026年を迎えた現在も、その過激な発信活動は収まる気配を見せず、日韓のネット空間に激しい火花を散らし続けている。
ニューヨークのタイムズスクエアに大型街頭広告を打つなど、彼の活動は常に海外メディアの目を意識した「見せる広報」に徹している。韓国国内では一部から愛国的ヒーローと称賛される反面、日本側からは「歴史の事実を歪曲したSNSマーケティング」「日韓の対立を煽って自己PRに利用している」との猛反発が絶えない。国際情勢が緊迫し、日韓の安全保障連携が不可欠とされる現代において、ソ ギョンドク氏が推し進めるネット主導の民間外交が投じる波紋は、単なる個人運動の域を超えた政治的リアリティを持ち始めている。
NYタイムズの意見広告から始まった「情報戦」の軌跡

彼の手法を一躍有名にしたのは、米ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載した「独島」や「慰安婦問題」をテーマにした全面広告だった。莫大な費用をクラウドファンディングや企業スポンサーから集め、海外の一般読者に直接訴えかけるスタイルだ。一見すると国際的な意識向上活動を装っているが、日本側からは厳密な歴史的検証を欠いた一方的な主張であるとの批判が当初から相次いでいた。
特に2010年代以降、彼のターゲットは伝統的メディアからデジタル空間へと急速にシフトした。世界主要都市のビジョン広告やグローバルブランドのSNSアカウントに対し、組織的な抗議運動を仕掛ける手法は、現代の「キャンセル・カルチャー」と強い親和性を持つ。少額の資金とアグレッシブな拡散力で世界のアテンションを奪う戦略は、現代の情報戦の典型例と言える。
竹島・旭日旗・キムチ…「炎上」を狙うSNS時代の発信手法

活動の対象は政治・外交問題にとどまらない。アニメ『鬼滅の刃』に登場する耳飾りのデザインが旭日旗に似ていると抗議して修正を迫ったり、中国との間で起きた「キムチ発祥論争」に参戦したりと、ポップカルチャーや食文化にまでその手を広げてきた。SNSで「炎上」しやすいテーマを素早くキャッチし、抗議メールを送るようフォロワーに呼びかけるのだ。
日本国内のネットユーザーからは「何でも反日に結び付ける難癖」「炎上商法だ」との冷ややかな声が支配的だ。しかし、この「目立ったもの勝ち」の戦術こそが、彼のプレゼンスを長年維持させてきた原動力でもある。タイムラインのタイムリーな話題に割り込み、ハッシュタグをジャックすることで、世界中のアルゴリズムに乗せるテクニックは極めて巧みだ。
日本政府や企業への直接抗議——抗議メール攻撃の実態

彼の真骨頂は、ターゲットを決めた後の電撃的な直接抗議にある。日本の外務省や防衛省、さらにはグローバル企業の公式サイトに表記間違いがあると主張し、一斉に修正を求めるメールを送付したとSNSで報告するパターンだ。相手側から反応がなければ「逃げた」と煽り、修正されれば「勝利」と宣伝する。勝敗のフレームワークを自ら構築する自己完結型のパフォーマンスとも評される。
国際機関や海外の美術館、スポーツ団体に対しても同様のアプローチが行われている。アップルやグーグルのマップ表記における「日本海/東海」問題など、プラットフォーム企業への圧力は年々強まる一方だ。論理的な議論よりも、企業側のコンプライアンス意識やレピュテーションリスク(風評被害)の恐れにつけ込む戦術は、企業の実務者層にとって頭の痛い問題となっている。
「過剰なナショナリズム」か?韓国国内からも上がる冷ややかな視線
長年、韓国世論のナショナリズムを背負う存在として扱われてきた彼だが、近年では韓国国内の言論空間や若者の間でも温度差が生じ始めている。過激なパフォーマンスが返って韓国の国際的信頼を損ねているのではないか、あるいは歴史問題を自らの知名度やビジネスに利用しているのではないかという疑問の目だ。
韓国の主要メディアや研究者の間でも、感情的な対立を煽るだけの発信は日韓の真の解決に結びつかないとする冷めた分析が増えている。若年層を中心に日本への旅行やカルチャー消費が定着する中、日常的に「対立」を煽り続けるスタイルは、若者の感覚と乖離しつつあるとの指摘も少なくない。
2026年、生成AI時代の「歴史認識バトル」と新たなフェイク懸念
2026年現在、歴史認識を巡る情報戦はAI技術の急速な普及によって新たな局面を迎えている。ディープフェイク画像やAI生成動画を用いた歴史的コンテンツの拡散が容易になったことで、個人の広報活動が持つ破壊力は過去の比ではない。ファクトチェックの目が行き届かないまま、感情に訴えかけるAIコンテンツがSNS上を駆け巡る危険性が高まっている。
こうした最新テクノロジーを駆使した世論工作において、彼のような影響力を持つインフルエンサーがどう振る舞うのかは、国際的にも懸念の対象だ。真偽不明の画像や情報が一度拡散されれば、デジタル上の「既成事実」として一人歩きしてしまう。対立をビジネスモデルにする構造がAIと結びついたとき、日韓の情報空間は更なる混迷を極めることになる。
日韓の未来に何をもたらすのか:感情的対立を超えた視点の重要性
日韓両国が安全保障や経済連携での協調を模索する一方で、草の根やネット空間での不信感は依然として根深い。その火種を絶えずくべ続ける存在として、彼の活動は今後も注視され続けるだろう。感情的なネットの議論に流されず、何が客観的な事実であり、何が意図的なプロパガンダなのかを見極めるリテラシーが、今ほど求められている時代はない。
メディアやSNSの「見出し」に躍らされることなく、歴史的経緯と冷静な対話を見つめ直すこと。それが、刺激的なパフォーマンスを繰り返す活動家に対する、最も有効な処方箋なのかもしれない。 (出典: ソ ギョンドク(Yahoo!ニュース))